日本とドイツの職場文化から考える、ヒエラルヒーの本質は「上下関係」ではない
- Rumi Hasegawa
- 7月28日
- 読了時間: 3分

「日本は上下関係が強いと聞きますが、上司に反対意見を言ってはいけないのでしょうか?」
ドイツの方から、こう尋ねられることがあります。
答えは、もちろん「いいえ」です。日本でも上司に意見を伝えたり、異なる考えを示したり
することはできます。
ただし、いつ、どの場で、どのような言葉で伝えるかは重要です。その点は、ドイツの職場文化とは異なる場合があります。
ヒエラルヒーについては、「垂直的な組織」と「フラットな組織」が対比されがちです。しかし、本当に大切なのは、組織が階層的かフラットかというラベルではありません。
ルールの明確化
重要なのは、チームの中で、
誰が誰に意見を伝えるのか
反対意見や懸念は、どの場で共有するのか
決定は誰が、どのように下すのか
決定後に異論をどう扱うのか
といったルールが、メンバーにとって明確になっていることです。
組織の構造には、それぞれ特徴があります。だからこそ、「フラットな組織を目指すべき」「もっと階層を明確にすべき」と一律に考えるのではなく、その組織の特徴に合ったコミュニケーションの方法を設計する必要があります。問題の本質は、組織をよりフラットにすることでも、より階層的にすることでもありません。
役割と期待の不一致と摩擦
意見、懸念、そして決定を、チームとしてどのように扱うのか。そのルールを見える形にし、共有することです。
役割や期待が一致していないとき、そこに摩擦が生まれます。
さらに重要なのは、ヒエラルヒーを単に「乗り越えるべきもの」と捉えず、必要に応じて使いこなすことです。
戦略としてのヒエラルヒーの活用
たとえば、政治的に重要な案件や、部門をまたぐ利害調整が必要な場面では、上位者の肩書き、影響力、社内ネットワークが前進の鍵になることがあります。現場の担当者同士で話し合うだけでは動かない課題も、適切なタイミングで上司を巻き込むことで、意思決定が進む場合があります。
一方で、日常的な業務上の相談や、専門性にもとづく率直な議論まで、すべて上位者に委ねる必要はありません。大切なのは、「誰が決めるべきか」だけでなく、「誰の立場や影響力があれば物事が前に進むのか」を考えることです。
上位者に求められる「受け止める役割」
そして、ヒエラルヒーは上位者だけが持つものでも、下位者だけが適応するものでもありません。
上位者にも、重要な役割があります。メンバーがいつ、どのような形で意見や懸念を伝えられるのかを明確にし、異なる意見を「反抗」や「非協力」と受け取らないことです。
また、最終的な決定を下す立場にあるなら、その判断の背景や期待する行動をできる限り共有する必要があります。決定に全員が賛成できなくても、「なぜその決定になったのか」が理解できれば、チームは動きやすくなります。
円滑な協働のための「共通ルール」
ヒエラルヒーが機能するかどうかは、下位者が上位者にどう話すかだけでは決まりません。上位者が、意見を受け止め、判断を説明し、安心して発言できる環境をつくれるかにも左右されます。
ヒエラルヒーをなくすことが目的なのではありません。状況に応じて適切に活用しながら、意見・懸念・決定をどう扱うのか。その共通ルールをチームで持つことが、摩擦を減らし、協働を進める土台になります。
皆さんのチームでは、そのルールは見えていますか?


